教室の窓から見上げると、陰影のない巻層雲が、ベールのように空を覆っていた。

四時間目の体育は水泳だ。教室で準備していると、

「ねぇねぇ環~」

友達の瑠花(るか)が腕にはりついてきた。

「悠介君に例の話してくれた?」
「例の?」
「ほら、みんなで来月オープンの遊園地に行くって」
「あぁ、忘れてた」

うまくいかないことがあると瑠花は右のピアスをいじる癖がある。本当は覚えてたけど。