しかし、なんとか水に右手だけを入れたところで、胴体に深い亀裂が入る。

「うぐっ…っ!」

そのまま目を見開き、ピクリとも動かなくなった。

水に浸かる麗佳ちゃんの右手を、プールにいた美術部の桜(さくら)ちゃんが握る。

大人しかった二人は、教室の隅で読書をする親友同士だった。

「どうしてよレイレイ。二人で花火大会に行こうって約束したじゃん…」

桜ちゃんは声を殺すようにして、静かに泣いた。