「どうしたの!?」
「歩いてたら、突然切られて…!」

横にいた友達がこたえる。

「誰に!? 顔とか見なかったの?」

私はハンカチで傷口を押さえる。

「分かんない…」

騒ぎをききつけ、先生や生徒達が集まってくる。

学校に刃物を持ち込んで、後ろから太股を切って逃げたってこと?

誰の仕業かしらないけど、ひどすぎる。

人だかりは怪我をした子を囲み、どんどん大きくなる。

そのとき、私の耳元で男の声が囁く。

「なんでお前が……生きてるんだよ?」

バッと振り返る。しかし、そこには誰もいなかった。