「何?どしたの」

切り替えて声を抑えて聞く

「おべんとー忘れてるよ!」

そう言って顔の横に俺の弁当袋を出す


あ、忘れてた

それどころじゃなかったからな

わざわざ持ってきてくれたのか

「ん、ありがとう」

素直にそう言えた

ふっ
さっきのなんとか蒼馬に見せつけてやりたい


「ふふ、どういたしまして」

その表情が柔らかくなる


そして

「今日の卵焼き、すっごい美味しく出来たから!」

歯を見せてニコッと笑った


ドクン

心臓が一際大きく鳴いた


「じゃーね!」


ひらりと手を振っていなくなる背中

……

やば

なにこれ

ドクドクドク

心臓がうるさい