「はぁっ…はぁ、はぁ」

え、ちょっと待って

私体力なさすぎじゃない?


まだ走り出して1分…経ったっけ?という頃

あまりの体力のなさに驚愕して思わず足が止まる

ゼェゼェと息を整えながらだいぶ日の陰った道を見た


……?

あれ、誰かいる

こんな雨の中に?


黒い傘をさした黒い服の人

スッとした綺麗なスタイル

僅かに見える、整った口元


あれ…あの人、どこかで…


その人を見た瞬間

脳内でジジっと音を立てて過去の記憶が蘇った



ーーーー


ーー聴覚の半分以上を蝉の声が締める夏


「あのー落としましたよ」


ーー気怠げな、それでいて綺麗な黒い瞳を私に向けた


「ありがとう」


ーー風が吹いたかのような優しい笑顔


「どういたしまして」


ーーーー



!!

あの時の…