◇︎ 「ねえ」 今日も今日とて、湊斗に会いに、屋上へ向かおうとしていたら。踊り場で手を掴まれて、行く手を阻(はば)まれる。 振り返らなくてもわかるようになってしまった。しつこいね、君も。 「今度は何の用?私、忙しいんだけど」 ──北見くん。 艶やかな黒髪を見据える。湊斗とは対照的な黒。 彼は、言いづらそうに目を伏せる。 それから彼は、意を決したように顔を上げ、 「──見たんだ、俺。昼休みに、結城さんが屋上に行くの」 咎めるような目つきで、そう言った。