◇︎ それからのことは、よく覚えていない。 ふらりふらりと、思うままに、歩いて、歩いて、歩いて。 階段を、突き当たりまで上(のぼ)って。 気が付いたら、屋上へと出る扉の前まで来ていた。 何の気なしに、扉に手をかける。 普段は鍵がかかっているはずの扉。 ──その日開いていたのは、偶然なんかじゃなくて。 きっと、運命だった。