「…そうやってすぐ泣く。強くなれよ、いい加減」


「泣いてないから」


意地でも涙を溢すものかと、キッと深景さんを睨み付ける。


「…そんぐらい気が強そうな感じの方が、お前には似合ってる」


「……何が言いたいの?」


昨日からずっと深景さんが変だ。


「別に」


いったい、なんだっていうの…っ?


「…だったら…っ、だったらどうして…っ」


深景さんが分からない。


あたしを突き放すクセに、どうしてそんなに悲しい表情をするの…?


どうせ突き放すなら、もっと冷たくしてよ。


どうして、いつもいつも中途半端な態度をとるの…?


「…深景さんのバカ…っっ」


ダメだ、泣いちゃ。


堪えなきゃ。


もう深景さんの前で涙を溢すわけにはいかないんだ。