天使は更に言葉を重ねた。

《けどまぁ、色々と紆余曲折あったものの、ここに戻って来てくれて本当に良かったよ。キミの魂に何かあったら、ボクは始末書問題になるからね〜。
 って事で、キミ。早く蓮くんの体に戻って?》

『え………っと?』

 ほら、早く、と急にせかしだす天使に、若干気遅れする。

 駿くんから聞いた天使のイメージとは程遠い。彼は始終、面倒くさそうにしている。

『ま、待って下さい。あと二つだけ聞きたい事があるんですけど』

《えぇ〜?? ここまできて何だよ、もぉ〜っ》

 なんか嫌そうだな……?

 それだけ早く、俺を戻したいという事か?

 天使の仕事がどういう物かは分からないが、彼は明らかに焦っている。

 それなら用件は手短かにと思い、僕は胸の痛みについて質問する。

 天使は《気のせいじゃないの?》と最初こそうそぶいていたが、観念して答えた。

《キミの本体がここに有ったからだよ》

『え?』

《市立病院に行くと理解して、本体の心臓が打ったから霊体にも伝わった。ただそれだけの事だよ》

 天使はそう言ったあとハァ、とため息を落とした。

『あの。それじゃあどうして俺は……子供の姿だったんですか?』

 天使はふてくされた表情をするものの、《そんなの》と何でもないふうに言った。

《キミがそう望んだからでしょ?》

 え………?

《さぁさ、良い子は体に戻る時間ですよ〜、死にたくなかったらさっさと還りましょう!》

 早く早く、と背を押され、霊体の僕にさわれるんだ? とまた不思議に思う。

『あの、戻るってどうやれば?』

《自分の体と同じ体勢で重なればいいの。それでパパっと入れるから》

 早口の天使はやはり焦っている。問題を早期に解決したいのだろう。