明日の予定なんてないし、出来たら泊めてほしい。
「じゃあ朝早く送ります」
そう言われて、もう完敗だった。
天秤がぐっと傾く瞬間を見たようだった。
閉店間際の量販店へ行き、一泊するのに必要なものを買って、本社の方へと戻る。
まさかこのエントランスを再度通ることになろうとは……。
「あ、待ってください八橋さん」
「買い忘れですか?」
「彼女はできました?」
きょとん、と顔に書いてあるような表情。
可愛いな、じゃなくて。
「いや、いるわけないじゃないですか」
「そう、ですか……良かった」
言葉が漏れた。漏らして良い言葉だったよね、と自分に弁解する。



