冬の夜は寒い。地元の雪は止んだだろうか。
ブランドもののコートを着た八橋さんが立っていた。
「二次会、あっちですよ?」
まさか置いていかれたのかと、指差す。八橋さんはその指の方向を一度見た後、困ったように笑った。
「正武さんを送りにきました、お久しぶりです」
「え、大丈夫ですよ。お久しぶりです」
夏ぶりの対面。何か話しかける内容を探して、最後まで喋ることは無かったなと思っていた。
「もう断ってきたので、行きましょう」
八橋さんって物腰柔らかで人付き合いが良いけれど、断るときはキッパリ断るよな、と思い返す。



