「変わっても、良いですよ」
「……良いですか?」
「変わっても、大丈夫です」

すき、きらい、すき、きらい。

花占いで、気持ちを決める。
それはもう、昔の話だ。

私の気持ちも、貴方の気持ちも、誰も決めることは出来ない。

すっと指に触れ、その先をきゅっと握られた。

「連れて行っても良いですか?」
「ダメです。私も今日仕事だから」
「ですよね……我慢します」

しょぼんと項垂れるので、笑ってしまう。

八橋さんが電車に入り、私は黄色い点字ブロックの内側で止まった。

「じゃあ、気を付けて」

ひらりと掌を見せる。