箸を拾ってタッパーの蓋を持つ。
「とりあえず撤退しましょう」
「了解です」
私の一世一代の告白が鳶に邪魔された気がしないでもないけれど、まあこんなものだろうと思った。
蓋を閉めようとする。八橋さんの持つおにぎりに黒い摩の手がさしかかる。
咄嗟に蓋でそれを防いだ。
ばんっと鳶が跳ね返り、すぐに体勢を整えて飛び去っていった。
呆然とする八橋さんが再度固まる。
「ありがとう、ございます」
「卵焼きの罪は重いですから」
「正武さん、格好良い」
肩を震わせたかと思えば、笑い出した。
抱腹絶倒。という言葉通り、体を二つ折りして。



