「どうしてむかついたんですか」 尋ねられる。私は少し考えて、正直に答えることにした。 「八橋さんがどこかの御令嬢と結婚するって話を聞いたからです」 おにぎりを膝に置いて、タッパーに詰めた卵焼きを箸でつまんだ。 「私は八橋さんが好きなので」 瞬間、黒い影が横をすごい速さで通って行った。 私の持っていた箸が足元に放り出される。何が起こったのかと周りを見回した。 「卵焼き……!」 「鳶ですね」 「え、うわ一杯いる」 私たちのお弁当を狙っているのだろう。上空を何羽かぐるぐると回っている。