「尊敬します」
「え、何をですか?」
「正武さんを。俺は昔から、小学校で育てる朝顔すらちゃんと育てられなかったので」

塀の横に張ってある金網に巻き付いた蔓。
あれは去年も咲いた朝顔が種を落とし、今年も勝手に芽を出した。
蕾がぽつりぽつりとついている。

「私はよく、夏休みに持って帰った朝顔を放置して、伸び過ぎて違う植物の蔓に絡ませて、怒られました」

祖母から「自分でやりなさい」と剪定バサミを渡されたのを思い出す。

「八橋さんは、枯らしちゃったんですか?」
「いえ、そもそも芽が出ないことが多くて」