それならとっておきの場所がある。

「じゃあ行きましょう」
「え、はやい」
「早く顔洗ってきてください」

八橋さんのいる、最後の週末だ。




顔を洗った八橋さんが台所に来た。

「何を、作ってるんですか?」
「おにぎりです。あとウインナー」

フライパンの上に焼かれたウインナー。
卵焼きは切って、冷めるまで皿の上に並べられている。

「美味しそう」
「朝ごはん食べますか? すぐお昼になると思いますけど」
「いえ、大丈夫です。何かやりますか?」

握り終わり、後は詰めるだけ。

居間の棚に置いてあった鍵を渡す。