だって、今八橋さんを問い詰めたところで、来てしまったことは変わらない。
どっちにしろ共犯だ。

うちに泊めて、ご飯を一緒に食べて、何ともないなんて思わない人間はいないだろう。

それなら、このまま知らないふりをして、楽しく食事をすれば良い。
折角一緒にいるのに、つまらないことなんて、話したくない。

隣に座った悪魔が、私の肩を抱く。
それから、声を潜めた。

全然、婚約者なんて受け入れてないんでしょ、と。

スプーンを置いた音が響き、八橋さんの視線が向いた。

「……麦茶持ってきますね」

立ち上がり、台所へ行く。冷蔵庫に入っているポットを持って、大きく息を吐いた。