私はきっと八橋さんの結婚式に呼ばれれば行くだろうし、八橋さんもきっと私に彼氏ができても「良かったですね」と言うだけだろう。

夏特有の、もわっとした空気が肌に触れる。

だから、私は最低なんだ。
八橋さんの婚約が破棄になったことにほっとしたりして。

近しい人が幸せになるのが妬ましい、とかそういう気持ちではない。

これは多分――。

風が吹き、電車がホームについた。並んでいた人が乗り込んでいき、私も車内に入る。

涼しい冷房に、小さく息を吐く。梅雨が明けてずっと暑いから、ちょっと思考が飛ぶ。

早く、夏が終われば良いのに。