なんでも親切に教えてくれるし。
携帯が震え、それを持ってテーブルを立った。
「ちょっと、出てきます」
「彼氏さんですか?」
「ち、違います!」
動揺が声に出た。籾野さんが笑い、「行ってらっしゃい」と送り出してくれる。
フロアの非常階段に行く。相手は八橋さんだ。
「はい、もしもし」
『お疲れ様です、八橋です』
「お疲れ様です、何かありました……?」
八橋さんは少し笑った気配を見せた。
「え、どうしました?」
『いえ、もう出てくれないと思っていたので』
「な、何故……」
『あんなこと言って、距離を取られるかと』
あんなこと。



