叫びたいのに恐怖から声が咽に張り付き出せない。手足を動かし抵抗するが、狭い車中から逃げ出すことが出来ない。

「悟、倉庫に着くまで待て」

「わかってるよ。ひひっ、いい女だぜ」

 涙が溢れ、体の震えが止まらない。

 助けて……。
 助けて…………。

 誰か……。
 助けて…………。

 男に無理矢理唇を奪われて息が出来ない。鳩尾を殴られ踞る。

 恐怖と絶望で過呼吸となり……。
 次第に意識が遠退く。

 涙で周囲が霞み、男の顔が歪んで見えた。鼓膜を揺るがす卑劣な笑い声が、だんだん遠退く。

 紗紅……。
 紗紅…………。

 男の腕の中で……。
 私は気を失った……。