克真くんが行ってしまったこの教室で、私はひとり頭を抱えて反省会を開いていた。



…ああ、やってしまった。


彼がもう戻ってこなくていいとさえ思ってしまう。
もともと告白するつもりなんてなかったのに、いったい私は何をしているんだ。



泣きながら暴言を吐いてしまった。

バカとかアホとかゴリラとか。
もう嫌われてしまったかもしれない。


なんて、そんなことを考えていた矢先。



「音々」



私を呼ぶ、柔らかな声がした。


振り向けば、そこには数十分前にこの場所を出た彼の姿があった。彼はこちらに向かってくると、私も前で足を止めた。



「は、はやかったね」

「すぐ戻るって言った」

「…そ、っか。そうだったよね」