月日は早いものであっという間に秋はすぎ、冬休みが終わってしまった。

克真くんと私は相変わらず"友達"のままで、
旭先生と克真くんも相変わらず"先生と生徒"のままだった。




変化を求めていたわけではない。
むしろ、私の気持ちには蓋をしたかった。


克真くんの話を聞いたあの日から私はどこか気まずいまま。

先生と克真くんが放課後に国語科準備室を使ってお話会をしている様子を見かけても、ぎゅうっと胸が締め付けられるだけで、声をかけるなんてことはできっこなかった。



旭先生の結婚話と退職の話は、克真くんから聞いてから1ヶ月もすれば学校中のみんなに広まっていて、「先生おめでとう!」「旦那さんの顔みたーい」など祝福の声があちらこちらで聞こえるようになった。




どうか、克真くんに聞こえていませんように。
どうか、克真くんに届いていませんように。



克真くんの願いはいろんな音を可能な限り聴いていられることなのに、私はそんなことばかりを願ってしまって、どうしようもない自己嫌悪でいっぱいにだった。