いつか俺の耳はダメになる。
治ってもいつか再発する恐れがあるだとか、
場合によってはいつか完全に聞こえなくなるだとか、
―――じゃあ、その“いつか”はいつ来るのだろう。
わからない未来が怖い。音を失うことが怖い。
周りと対等ではいられなくなる自分が怖い。
返す言葉が見当たらなくて下唇をぎゅっと噛む。
そんな俺に、先生は言った。
「でも、きみの耳はまだ生きてる」
「っ、」
「きみが思う空を飛ぶ方法、聞かせてよ。そしたら私は きみの耳が死んでしまう前に空の飛び方を教えてあげられるかもしれないよ」
視線の先に座る彼女は、そんな俺を見てまた柔らかく笑う。



