それ以外の方法を僕は知らない





その日はたまたま、すぐに帰る気分にもなれなくて、誰もいなくなった教室で一人、窓の外を眺めていた。



放課後だったので、グラウンドには走り回るサッカー部の姿があった。
グラウンドのわきのコートではテニス部が熱心にラケットを振っているし、周りを囲うトラックに沿って走る陸上部の姿も見られた。



中学の時はサッカー部に所属していた自分も、少し前までは同じように走っていたんだ。

この病気になってからは、もう何かに夢中になる気も起きなくなってしまった。



あの時は楽しかった。
部活の仲間は元気だろうか。
クラスでつるんでいた奴らも、今頃それぞれの高校で楽しくやっているだろうか。



最近は、なんとなく音の聞こえがよくなってきた気がする。


授業をしている先生の声もしっかり聞こえるし、周りの音だって、耳に響く音楽だって途切れることは少なくなった。



このまま完治してはくれないだろうか。

前みたいに、音のことを何も考えずに生活することはできないのだろうか。