それ以外の方法を僕は知らない








「面白かったね!」



時刻は19時前。

約2時間の映画を見終えた私たちは、肩を並べて駅までの道のりを歩いていた。


終始迫力があって、さらに涙あり笑いありのストーリー展開的にも好みだった今回の映画。


克真くんは、興奮を抑えられず「はあ…」「もう一回みたい…」とぶつぶつと呟く私を横目で流しながらも「…まあ、面白かったよね」なんて言っていた。


ちらりと表情を覗くと、彼はうっすらと満足したような笑みを浮かべていて、(一緒に見れてよかったなぁ…)と改めて思った。



…て、いうか。


克真くんの笑った顔、初めて見たかもしれない。



てっきり笑わない人なのかと思ってた。
彼の無表情はデフォルトなんだって思っていた。

楽しいと思っていたのが自分だけじゃなくてよかった。


きみの笑顔をこんなに近くで見れて嬉しい。


心の中でそんなことを思いつつ、駅までの歩みを進めた。