───放課後。
いつも一緒に帰っているということもあったので、杏奈に「克真くんと映画に行く」という旨を伝えると、彼女は「デートじゃん、ウケる」なんて言い残し、今日も今日とて足早に帰っていった。
「克真くん」
SHRから30分もすれば、この教室は私たち二人だけの空間へと変わる。
「か、つ、ま、くん」
もう一度名前を呼ぶと、朝とは違い、ヘッドホンを付けていない彼が「うん」と私のほうを振り向いた。
「そろそろ行こう」
「ん」
「映画、16時半の回があったよ」
先程調べた上映時間を伝える。
すると、彼は黒板の上にかけてある時計をちらりと一瞥した後、もう一度私の方に向きなおした。



