「……」 少し下を見るようにしてこちらまで帰ってきた花乃が、小さく前を向く。 「1位、 なれなかった……な」 わらおうとして、わらいきれなかった。みたいな。ちぐはぐな表情と声音。 溶けてしまって、腕を伝うアイスみたい。 どうしよう。わたしに、何ができる? 「佐久間さん」 橘の声がして、呼吸を意識した。 わたしも、何かを。