「ねえ、ロー?どうしてこんなに亜人が集まっているのかしら?」


ニーナの家に居候するようになって、一週間。
噂の魔女は怖くないと仲間に言うと、会ってみたいと家の前に集まってきてしまった。


「えっと……」


ニーナは話を聞かずに、僕を含め、亜人を締め出した。


「魔女が優しいなんて気のせいじゃないか」
「まだ食べ物を与えてくれるヒトのほうがいい」


魔女を一目見たいと集まった仲間たちは、ぞろぞろと帰っていってしまった。


一人になった僕は、ドアをノックする。


「……ニーナ、僕が悪かった。開けてくれないか……?」


ゆっくりドアが開くと、ニーナは拗ねていた。


「私、亜人なら誰でもいいわけじゃないわ」
「……うん」
「ローだから許したのよ」
「うん」


相槌を打ちながら、ニーナを抱き締める。


「もう、ニーナのことは誰にも言わない。君の魅力は、僕だけが知っていればいい」
「……弱々しかった一週間のローはどこに行ったのかしら」
「こんな僕は嫌い?」


その質問にニーナは答えず、僕を抱きしめ返すだけだった。


僕だけの、可愛い魔女。
絶対に、手放したりしないよ。