なぜか無能力の私に、世界の行く末が委ねられました。

 私は、この本を読んで分かったことをレオンに話した。

「読んだんだ、勇者伝説」

「うん。ドラゴンが少し気になって」

「あ、今朝のニュースで?」

 私は頷く。

「で、勇者ってさ。剣だけで戦うでしょ?」

「あぁ。能力も使わずに…な」

「それが、私が読んだ本の作者は『勇者が“無能力”だから』って言ってるの」

「ゔっ…」

 飲んでいたお茶が変なところに入ってしまったようだ。

「だっ、大丈夫…?」

「あ、あぁ…平気だ」

 やっぱり、なにか知ってるんだろうか。

 気になるけど……レオンが話してくれるまで、待とう。