「……ぇ、なんでこんな場所に……?」
「いや、こっちのセリフなんだけど」
私は、見てしまった。
人気者である大神(おおみや)くんがひとり、お弁当を食べてる場面に。
私、玉置星來(たまき せいら)。
1人になりたかったからひとりになれる場所を探していたのに見つかったのは場所ではなく人気者。
「それ、手作りだよね? お母さんとかに作ってもらったの?」
大神哉斗(おおみや かなと)。
急にふらふら〜っと消えるからかみんなからは、オオカミくんと呼ばれている彼が手作り弁当をたべてる。
「……違う、俺の手作り」
「え、大神くんの? 料理、出来るんだね」
大神くんのお弁当の中身を見ると色鮮やか。バランスよく詰められていて本当に美味しそう。
「……た、食べる?」
「え! いいの!?」
「うん、どれがいい?」
弁当には卵焼き、タコさんウインナー、ピーマンの肉詰め、ミニトマトにアスパラのベーコン巻き。
うーん……悩むなぁ。ここは定番に行こう!
「これ、この卵焼きにする!」
「……はい、どーぞ」
大神くんは、卵焼きをつまようじに刺してくれてパクッと一口。
今思ったけど、「あーん」みたいな感じになったよね!?
恥ずかしい……もう。