俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】






駅に着いた頃には、8時を回っていた。こんなに遅くまで外にいたのは初めてだと思う。

あれからスマホは見てないからわからないけれど、たぶんたくさんメッセージが届いているだろう。




「ひとりで帰れんの?」
「私は大丈夫」



「ふーん」と言って私に背を向けて歩き出した蒼太くんに続いて、私も背を向けて歩きだそうとしたとき、すこし離れたところまで歩いた蒼太くんが「なあ」と私を呼んだ。


不思議に思って振り向くと、彼の双眸が私を捉えて、でも一瞬で逸らされて。




「ありがとう、いろいろ」


私がなにか答える前にそのまま歩いていった蒼太くんをただ見つめる。思いかげない言葉で、ぶっきらぼうな彼が私にお礼を言っていた。