「……ゆ…………あゆ…………ゆ!ねぇ愛結!!!!!!」




耳元で大きな声が聞こえてきて、びっくりしながらも顔を上げると、怒った表情をしている咲優がいて、冷や汗が背中を伝う。このあとはいいことは言われないだろう、文句を言われるのだろう。

違うことを考えていたら、他の人の話はぜんぜん入ってこなかった。





「ごめん、考え事してた……」
「それはいいんだけど、昨日私たちがサボったって先生にチクった!?」





咲優たちの血走った目がすこしだけこわくて、身体がビクッとなる。私が遅れたからひとりでやってます、って答えたから、チクってはいないと思うのだけれど、何かあったのだろうか。




「言ってないよ?」
「本当に?!」

「うん」
「なんか、愛結ってそういうところは信用できない、正義感強いし」