「俺と話すの嫌?」
「嫌じゃないです」


不思議な人の発言なんて読めないし、わからないし、それを深堀しようとも思わない。

嫌だな、と思うほど話をしていないし、この人のことをよく知らないし、実際に助けてもらったのは事実だから変なことは言えない。




「なんかさ、似てるんだよな」

聞き取れなかった言葉をもう一度聞き返したけれど、「なんでもない」と誤魔化されてしまった。



「しばらくさ、俺のそばにいてくれない?」




運命的な出会いだと言ったらきみは笑うのだろうか、そんなわけないって笑うのだろうか。

だけど、私は運命的な出会いだと思った。



このときは感覚が麻痺してしまっていたのかもしれないし、変な日だったのも事実かもしれないけれど、"出会うべくして出会った"と考えてしまったのは私だけなのだろうか。

家を出て、ここにきて、きみと出会って、これからも日々を紡いでいけば何か変わる、私は本能的にそう思った。




「俺のために生きてみるとか、どう?」