「なあ、無視?」
「え……あ、魅入ってました、綺麗です……」



私が答えると「だろ?」とまるで自分の空を私にみせているかのように言っていた。その強引さに嫌悪感は抱かなくて、むしろなぜか、安心した。



「あ、ここから落ちても消えられねえよ。怪我するだけ」
「え……?」

「全て諦めてますみたいな顔して、進んでったからびっくりした」



恥ずかしい姿を見られていたという解釈が一番正しいだろう。彼の目には滑稽な私が映ったのだろう。

頭を冷やしたいま、自分の行動がひどく恥ずかしいものだったのだと気づいたけれど、覆水盆に返らずだ。



だけど、目の前の彼は私には負けないほどに不思議な発言、奇想天外な発言をした。