え、って言葉が洩れそうになったほど、話が噛み合ってないというか、突拍子もない言葉というか。右を向けば彼と目が合って、「だから、綺麗じゃねって。普通言われたら見るだろ」と顎で空を指された。


強引かもしれない、この人と思うのと同時に空を見上げた。言われたから何気なく見たけれど、目に映った瞬間息を呑んだ。

わあ、という声が洩れたかもしれない。



ふと思ったのは、星が降ってきそうだった。さっきまでの小雨はなんだったのだろう、と思わずにはいられないほどの星空が広がっていて、この空がスクリーンで、この星がスクリーンに映った、人の目を引くものなのかな、なんて思ってしまった。

夜空は真っ黒で、何も見えない、ただ空があって、月が浮いてるだけ、って思っていたけれど、向こうが藍色で、私がいるほうに近づくにつれて、濃い色になっている。

こんなふうに空を眺めたのはきっと初めてだろう。