俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

お兄ちゃんの怒鳴り声とお母さんの怒鳴り声が鼓膜に響く。鼓膜だけじゃなくて、心も壊れてしまいそうなほど鈍い音が家中に鳴り渡る。

壁が薄いアパートなのだから、きっと近所にだって響いているはずだし、確実に響いている。



近所の人に良い印象を持たれていないことも、私は知っていた。

近所のおばさんが好き勝手言っていること、噂していること、お母さんだって知ってるはずだけれど、それでも言わずにはいられないのだろう。



私が間に入って笑って済ませられることもあるけれど、今回は無理だな、となんとなく思った。

私が強かったら、臆病者ではなかったら何か変化があったのかもしれないけれど、そうじゃない。