遠回りした分だけ世界が広がって、泣いた分だけ強くなれて、出会いも別れも、出来事もそれがたとえ苦しかったとしても意味がある、とそう思える日まで生きていくだろう。



青春の危うさ、このとき感じた"何か"はいつかかけがえのないものとして私の心に残るだろう。

これから何回春夏秋冬を迎えるかわからないけれど、高校生として過ごした春夏秋冬はきっと特別なものになるだろう。


大人になるにつれて忘れてしまうもの、色褪せてしまうものもあるだろう。

だけど、蒼太くんと過ごした日々は絶対に色褪せない、ずっと私の心で生き続ける。



蒼太くん、ありがとう。
私も愛していました。






「私、これからも笑っていいんですか……?」
「うん、愛結ちゃんが笑ってると俺もうれしいし、蒼太も幸せだから、たくさん笑って蒼太のこと幸せにしてあげて」





蒼太くんに出会って、麗音さんに出会って、私の雁字搦めの世界が、息がしにくいほどの世界が大きく変わって、大きく広がった。

私はこの世界をこれからも泣きながら、悩みながら、もがき苦しみながら生きていきたいと思う。








さようなら、蒼太くん。
さようなら、青春。




私を応援するように吹いた春風が桜を運んできて、私の頬を優しく撫でた。









END