だけど、すぐに何か変わる訳では無い。


私が背伸びをしても大人になれることはないし、逆に嫌だって抗っても時間が経てば大人になってしまう世界に私はいる。

昨日があって、今日があって、明日があるように、過去がいまに繋がって、いまが未来に繋がっていく。


この順番が変わることはない。私はいまこの瞬間、蒼太くんが迎えられなかった"いま"を必死に生きていく。たくさんのものを教えてくれた蒼太くんに私ができることはこれしかない。


泣いたまま見上げた空は綺麗で、広くて、真っ直ぐで、まるであの人のような空だった。



その空に向かって、つぶやいた。




私は生きることを、描き続けることをやめたりはしない。

「私ね美大受けたの、受かってるかわかんないけど」



私の取り柄なんて何も無いけれど、胸を張ってできる、と言い切れるものはないけれど、きみが褒めてくれた"描くこと"は辞めたくないと思う。

きみが大切にしてくれた感情、きみが思い出せてくれた感情は忘れないけれど、きっと私はこれからも"感情"がわからない。