俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

私も負けじと言葉を繋いだ。咲優は失ってしまった人のひとりで、もう二度と同じ関係に戻れないって私も彼女もわかっている。



失ったものは私の中に戻ってこない。これから彼女と交わることはなくて、別々の道に進んで、お互いの記憶から消えていくのだろう。

そう思うと、後悔だけが襲ってきたけれど、私にできることはもう何も無い。






私は学校を後にしてひとりである場所へと向かう。駅まで歩いて、電車に乗って、蒼太くんと出会った場所に向かった。

柔らかくなった制服、ボロボロになったローファー、胸元につけられた桜の花、両手には卒業証書を抱えて足を動かす。




近づくにつれて、抑えていた思いが溢れてきそうになって、胸が締めつけられて、現実だけを突きつけられた。

私の足音を聞いて、振り返って、「よう」と言ってくれる彼はもういなかった。