俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

クラスメイトの隣には両親がいるけれど、私の隣にはいない。


今日も私のお母さんはいつも通り仕事に向かった。今までの私なら「みんなと違う」って思っていたけれど、今日は思わない。

それでいい。いまの私は、家族に見せられる私じゃないし、誇れる私じゃない。


まだ自分が求める私になれていない。








『ちゃんと向き合えよ』

あれから、蒼太くんがいなくなったあの日から今日までいろいろなことがあった。

だけど、特別何か変わったわけではない。



家族と話したからといって、周りの家族と同じようになれるわけじゃない。私たちの間には埋め方もわからないほどの距離があった。

その中で確かなのは、もう二度と家族で笑い合えることはないということだ。


戻ることはできないから、進むことしかできない。





『家を出たい。自由に自分と向き合って、これから生きていく力を身につけたい』

私はあの家を出て、もう直ぐ大学を辞め、新たな道を進もうとしているお兄ちゃんも同じように家を出る。