俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

お母さんは私たちを連れて故郷であるここに戻ってきた。知らない町だったから戸惑ったけれど、全て諦めていた私にとっては本当にどうでもいいことだった。


家庭環境は私がこういう性格になってしまった"ひとつの"要因であると思う。

人の気持ちを先読みして行動してしまう、相手に怒られない行動してしまう、言葉を慎重に選んでしまう癖がついたひとつの理由だと思う。



私のお母さんは私たちを育てるために朝から晩までほとんど毎日働いていて、それがどれだけ大変か、お兄ちゃんにはわからなくても私は理解していた。



2LDKの小さな家には4畳の部屋がふたつと10畳ほどのリビングがある。床は簡単に軋むし、壁はボロボロ、外から見ても綺麗な建物ではない。部屋数も足りないからお母さんはリビングに布団を敷いて寝ている。

大学生のお兄ちゃんと高校3年生の私を女手ひとつで育てることは簡単なことじゃない。



覚悟だって必要だから私もわがままは言えない、なるべく邪魔者にならないように手伝わなきゃいけない、なるべく利口でいなければいけない。