俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

「何してんだ、お前は」



後ろから聞こえてきた声に反応して、神速に振り向くと、呆れた顔で立っている蒼太くんがいた。




「何って、家出したの」
「それはわかるけど、帰んないの?」




蒼太くんは私の隣に来て、私の隣に腰を下ろす。その距離が前よりも縮まった気がするのは私だけだろうか、それとも彼も感じているだろうか。



「帰らない、もっと遠くに行きたい」




逃げ出したいというか遠くに行きたいという気持ちが私の中から消えてくれなくて、ここよりももっともっと遠くに行きたい、どこかに行きたい。

私の唐突な発言を理解した蒼太くんは、え、とかなり驚いていたけれど、私は本気だった。




「正気?」
「うん、あ、でも私ひとりで行くから大丈夫」





あの日、何かに背中を押されて向かった先に蒼太くんがいたように、今日も前に進めば何かが変わるような気がした。

保証はなかったけれど、行動してみたくなって、私は腰を上げて彼を見下ろした。




「危ないから、俺も行く」