俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

あのときの麗音さんの顔は脳裏にこびりついている。私が一度も思ったことのない言葉を堂々と口にしていた。



いまはそう思えるのかもしれないけれど、悩んだ時期だってあっただろうし、蒼太くんのように悲しくなって泣いたことも何度もあるだろう。

いまの私のようにまわりと比べて苦しくなったことも幾度なくあるだろう。



その状況を"自分で"変えた、自分で幸せを掴みにいった麗音さんだから、輝いているのだろう。勇気と努力がつまっている、輝きなんだと思う。

生い立ちや環境のせいにしないで歩いた麗音さんと、いつも何かのせいにして逃げている私は見るからに違っている。





「私は麗音さんみたいな大人になりたいです」
「それはダメだよ、真面目な愛結ちゃんがテキトー人間になるから」




焦りながら手をぶんぶんと振る麗音さんがおもしろくなってちいさく笑う。

「愛結ちゃんって笑ってたほうが可愛いよ」と言われて焦った私と、「あ、そういう意味じゃなくて!」と焦っている麗音さんがいた。


麗音さんがテキトーな人間だなんて、ちっとも思わないけれど、たまにはテキトーのほうが楽しいのかもな、なんて思っていた。