「はあ、私まで風邪引くよ……」
「いいじゃん」
「え、いいわけないでしょ!」
「でも、俺まだ離れたくない」
私の胸に顔を埋めてきた蒼太くんが私を抱く力を強めると、肩がビクッと跳ねて、彼の言葉を理解した私の心臓は収縮を続けて。
ほしいと思って、手を伸ばしても伸ばした手は宙を舞って何も掴めなくて、それが悔しくていつしか伸ばすことをやめていた。
大切なものは簡単に私の手元をすり抜けていく。
大切なものがなくなるつらさはもう二度と味わいたくなかった、だからあの日から逃げていた。
なにかを失ってばかりの世界で、
すぐに壊れてしまう世界で、
変わってばかりの世界で、
私はきみを離したくない、と思ったよ。
私も離れたくない、って思ってしまった自分に罪悪感が募っていく。私も離れたくないよ、って言えない代わりに私は彼の体温を感じながらふたたびまぶたを下ろした。
あたたかくて、優しくてずっとここにいられたら、ずっと近くにいられたら、幸せなんだろうなってありもしないことを考えてしまっていた。
「いいじゃん」
「え、いいわけないでしょ!」
「でも、俺まだ離れたくない」
私の胸に顔を埋めてきた蒼太くんが私を抱く力を強めると、肩がビクッと跳ねて、彼の言葉を理解した私の心臓は収縮を続けて。
ほしいと思って、手を伸ばしても伸ばした手は宙を舞って何も掴めなくて、それが悔しくていつしか伸ばすことをやめていた。
大切なものは簡単に私の手元をすり抜けていく。
大切なものがなくなるつらさはもう二度と味わいたくなかった、だからあの日から逃げていた。
なにかを失ってばかりの世界で、
すぐに壊れてしまう世界で、
変わってばかりの世界で、
私はきみを離したくない、と思ったよ。
私も離れたくない、って思ってしまった自分に罪悪感が募っていく。私も離れたくないよ、って言えない代わりに私は彼の体温を感じながらふたたびまぶたを下ろした。
あたたかくて、優しくてずっとここにいられたら、ずっと近くにいられたら、幸せなんだろうなってありもしないことを考えてしまっていた。



