「あーやっば!お弁当忘れた……ママ入れ忘れたのかな、クソ」
「咲優、忘れたの?」
「ない!学食行く!もうちゃんと入れろよ、何してんだよ」
「あははは、人には怒るのに自分は忘れるしね」
「あーもーうざーーい。いなくなればいいのに」
「それな」
本当はお弁当を食べながら勉強をしたかったのだけれど、私だけ待っているとは言えなくて、ついていく羽目になった。
親の悪口を聞きながら、何の反応もできずにただ後ろをついていく。
今日はお母さんがお弁当を作ってくれたけれど、私だけお弁当を持っていくわけにもいかず、教科書で隠して教室に置いてきた。
追従してしまう自分もすきになれないし、それをしなきゃついていけない自分もすきになれないし、結局ほとんど変わってない現状を目の当たりにして視界が急に暗くなった。



