セミが鳴いていたとき、クラスはうるさくて、セミが鳴かなくなった静かな冬は教室も静かで、夏は感じられなかったが、やはり進学校なのだなと思い知る。




私も同じように過去問と参考書をカバンから取り出して机に広げる。問題がぎっしり並んでいて、開いただけでやる気は飛ぶけれど、そんなこと言っている暇はない。

来月はセンター試験、この嫌な雰囲気の要因がセンター試験。センター試験まで〇〇日、この数字が減っていくにつれて、教室の圧迫感は増していく。




「愛結〜!!ここわかんない、わかる?」
「あ、たぶんわかるよ」


薄く文字を書き込みながら教えると、咲優は思い出したように「あー」と声を上げる。





「ほんと愛結って秘密主義者だよね」
「秘密主義?」