俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

「ねぇ、今日も大学行ってないの……?」



無視される覚悟はしていたけれど、遠ざかる背中に声をかける。無視はされなかったけれど、私の耳に届いたのは冷たくて低い声だった。



「見ればわかんのになんで聞くの。お前には関係ねえじゃん」


わざとらしいため息と冷たい言葉を吐き捨てて、リビングに消えていったお兄ちゃんをじっと見つめる。



ため息つきたいのはこっちだよ、私の気持ちすこしは汲み取ってよ、と何度も何度も思った。



部屋に入った私は心の中ではなく、部屋中に響く大きなため息をついた。なにか変わるわけではないけれど、つかずにはいられなかった。



お兄ちゃんとふたりきりの家は息が詰まって、もしかしたら学校よりも息がしにくいのかもしれない。




私はお兄ちゃんの心配をしているわけじゃないのに、と思いながら本日何度目かわからないため息をまたひとつついたのだった。