──ごめん、俺お前のこと利用してる。だからそんなに優しい顔で笑うなよ。




季節はあっという間に越えてしまうらしい。汗ばむほど暑かった夏が終わって、肌寒い秋が来て、気づいたらマフラーなしでは過ごせない冬になっている。そして瞬く間に春を迎える。


吐き出す息が白く染まる。雪が積もるのかと思いきや、地面に落ちて幻のように消えていく。






朝起きるときまだ太陽は昇っていなくて、薄暗い。身震いしながら起き上がってリビングに向かう。

先に起きていたお母さんが朝食の支度をしていたけれど、今日はすこし機嫌が悪かった。




顔に出ていなし、隠してはいる。それでもなんとなくわかってしまうけれど、何を言ったらいいんだろう、って考えることは減った。

こういうときは変に気を遣ってはいけないし、当たり障りない言葉をかけるのが一番だって知っている。