「大丈夫?ベタベタしない?」
「する……」




眉を八の字にしている蒼太くんが面白くて自然と頬がゆるんだ。「なに笑ってんだよ」って言われたけれど、それも全部柔らかくて、新しい"何か"が芽生えて、それがすこし顔を出した。

変わらないと、変わりたくないと思っていたけれど、私はすこし変わっているのかもしれない。




「笑えるんだ?」
「……うん、すこしだけ……変?」

「変じゃないよ」


18歳、秋、きみの隣で初めて笑えたよ。




毎日が楽しいなんて、ことないだろう、毎日が幸せなことなんて、ないだろう。そんな世界があるのなら苦しむ人はいないだろう。

いまなら私はそう思える。