まだ出会ってから時間が経ってない、どこの誰かもわからない私に、こんな生き方しかできない私に、優しい言葉をかけないでほしい。

もっとここにいたい、話していたいって求めてしまうから、もっと冷たくしてほしいのに、私は多分ふたりの優しさを拒否できない。





「自分を大切にするって言葉にすると簡単なのに、難しくないですか」



「うーん」とすこし考えて、私のほうに顔を向けて口にした。


「自分を自分でいじめないことかな。やけに貶すとか、責めるとか」



私は当たり前のように愛された経験がない。否定され続けて、貶され続けて、いつしか自分までも貶すようになっていたのは事実だ。

私は自分と他人の愛し方を知らない。肯定の仕方も受容の仕方も知らず、自己否定の方法しか知らなかった。


相手にされたことを自分にもしていた。これは自分をいじめているに値するのだろうか。